死後事務委任契約とは?
2022/10/15
死後事務委任契約とは?
身寄りがなかったり、あっても疎遠だったりした場合に、なくなるまでにかかった医療費や公共料金の支払い、年金受給の停止など様々な手続きを、亡くなった本人に代わって行ってくる人を事前に決めておく為の契約になります。
死後事務委任契約とは?
死後に必要となるさまざまな事務を第三者へ依頼するための契約です。
通常、死亡届の提出や葬儀、介護費用や病院の費用精算、
役所への手続きなどの事務処理は子どもなどの親族が行います。
しかし天涯孤独で親族がいない方もいますし、
子どもがいても迷惑をかけたくない、依頼しにくい事情がある方もいます。
そのような場合、親族以外の第三者と死後事務委任契約を交わせば、
希望通りに葬儀などを執り行ってもらうことができますし、
お世話になっている施設の方などに迷惑をかけずに済みます。
生涯独身を貫く人や、子供のいない老夫婦で配偶者に先立たれてしまったため孤独になってしまった人など、いわゆる「おひとりさま」と呼ばれる人が増えています。おひとりさまの人は、自分が亡くなった後の葬儀や家財の処分などを誰に任せればいいのだろうと、不安に感じることも少なくありません。
そこで注目を集めているのが「死後事務委任契約」です。死後事務委任契約は、自分が元気なうちに死後の事務手続きを第三者に任せるために結んでおく契約のことをいいます。
そういった事務手続きをしてくれる家族がいない場合、もしくは家族も身体が不自由で、こうした事務をお願いすることが出来ない場合などは、死後の事務委任契約を結び、こうした事務を行ってくれるように生前に依頼しておくことができます。これが、死後事務委任契約になります。
死後事務委任契約の内容について
死後事務委任契約では、自分の死後の事務手続きを任せる内容や任せる人物(通常は信頼のおける親族や知人)、そのほかにも、行政書士や司法書士などの専門家との間で自由に契約することができます。
具体的に委任する業務の内容は、ご自身の自由に様々な内容を盛り込む事が可能です。例えば、遺言執行者の指定、医療費の支払い、葬祭費の支払い、各種届出等に関わる事務など様々です。
死後事務の具体的なケース
その具体的ケースについて触れておきます。以下のような事務が死後事務の一般的な内容となっております。
①葬儀社手配(官公署への死亡届含む)、②親族への連絡、③宗教家手配、④火葬埋葬に関する事務(納骨、墓地管理者に対する手続き)、⑤年金の死亡届(遺族年金の手続きは別途)、⑥居住宅の解約手続き、⑦居住宅の遺品整理立ち合い(病院や施設内の整理を含む)、⑧官公署への各種還付手続き(介護保険や健康保険の還付請求)、⑨水道・電気・ガスの解約手続き、⑩インターネット・携帯電話・固定電話の解約手続き などなど
これらは相続手続きとは異なる死後事務と言えます。これらの行為を生前の内に信頼できる人にお願いすれば、回りの方々に迷惑をかけることなくスムーズな死後事務処理ができるかと思います。
しかし、死後事務委任契約を結んでおけば、そのような負担をかける心配もなく、安心して老後を迎えることができます。
死後事務委任のメリット・デメリット
死後事務委任契約のメリットは?
死後事務委任契約のメリットには次のようなものが挙げられます。
- 親族がいなくても契約できる
- 遠縁にあたる人への負担をなくす
それぞれのメリットを説明していきます
親族がいなくても契約できる
親族がいない「おひとりさま」でも、信頼できる第三者に依頼することができれば、死後事務委任契約を結ぶことができます。
なお、「第三者」は友人や知人以外に、司法書士、行政書士などの専門家へ依頼することも可能です。
遠縁にあたる人への負担をなくす
家族や兄弟がいないおひとりさまには、自分の死後事務を頼める人がいません。そのまま何も準備をしていなければ、自分の死後、遠縁にあたる人にまで死後事務に関する連絡が入る可能性もあります。生前にほとんど交流のなかった親戚へ迷惑をかけてしまうかもしれません。
死後事務委任契約のデメリットは?
死後事務委任契約にはメリットだけでなく、デメリットもあります。
死後事務委任契約のデメリットを、トラブルの事例も含めて具体的に挙げていきます。
- 実際にサービスが提供されるか確認できない
- 事業者の廃業リスクがある
それぞれのデメリットを説明していきます。
実際にサービスが提供されるか確認できない
死後事務委任契約は口頭でも契約できますが、トラブルを避けるためにも、契約書を必ず作成しましょう。当たり前ですが、自分の死後のことを確認するすべはありません。たとえ信頼できる知人・友人であっても、テキトーな契約はトラブルのもとです。
また、トラブルを避けるためには実績があり、信頼できる司法書士、行政書士などの専門業者へ依頼することをおすすめします。専門業者へ依頼する場合、ほとんどは公正証書を作成することになると思いますので、より安心して依頼できます。
事業者の廃業リスクがある
死後事務委任契約を結んだとしても、その契約が履行されるのは10年や20年先のことかもしれません。そうすると、依頼した事業者が倒産する可能性も否定できません。実際に2000人以上の方が契約していた事業者が倒産した例もあります。
そうした可能性を少しでも減らすために、信頼できる事業者を選定する必要があります。経営母体がしっかりしているか。死後事務に必要な預託金等をきちんと分別管理できているか。死後事務委任契約を依頼できる事業者はさまざまですが、安心して任せられる事業者に選ぶように心掛けましょう。
契約内容の注意点
費用の負担について、明確にしておく必要があります。
任意後見人・成年後見人等は、ご本人が死亡した時点でその職務が終了しますし、見守り契約(※)のみの場合では、死後の事務を行うための費用の取り決めがされないため、葬儀費用等の支払いを行うことができない場合があります。
※見守り契約とは、任意後見契約が生じるまでの間、定期的な訪問や面談等によって、ご本人の心身の健康状態を把握して見守るためのものです。任意後見契約を開始する時期を見極めるためにも役立ちます。
亡くなった後の事務手続き
- 委任者の生前に発生した債務の弁済
- 委任者の死後の葬儀、埋葬もしくは永代供養に関する債務の弁済
- 賃借建物の明け渡し、敷金もしくは入居一時金等の受領
- 親族関係者への連絡
- 家財道具や生活用品の処分に関する事務
それぞれを必要に応じて行うことも可能です。
「任意後見契約」「見守り契約」「死後事務委任契約」「公正証書遺言」を含めて、検討されることをお薦め致します。
死後事務委任契約と遺言書の違い
「亡くなった後のことは遺言書に書けばいい」と思う方がいるかもしれませんが、こうした手続きの依頼を遺言書に記載しても、法的な効力は持ちません。それは、遺言書は「財産に関する事項」しか取り扱えないためです。
財産以外の、葬式や供養などに関することは、死後事務委任契約によって締結する必要があります。 そのため、遺言書と死後事務委任契約は、併用することをおすすめします。
なお、死後事務委任契約に財産に関する事項を含めると、遺言書とどちらに効力を持つのかといった問題が生じてしまいます。そうしたトラブルを避けるため、財産に関することは遺言書、それ以外を死後事務委任契約というように、取り扱う項目を分けるようにしましょう。
まとめ
死後事務委任契約は、自分の死後に関する不安を解消することができます。
しかしながら、いざ契約を結ぶとなると、契約内容が細かく、自分に必要な手続きが何なのか悩んでしまうかもしれません。そうした場合は、まずは専門業者へ相談してみるのはいかがでしょうか。
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